■茹でガエルの法則
茹でガエルの法則とは、カエルを生きたままゆっくり茹でると、危険性を感知できず、そのまま茹でられて死んでしまう話に基づきます。
これは、事実として何人もの学者に証明されたとも言われ、また一方では、水温が高くなればカエルは逃げ出すと反論する学者もいます。
コンサルタントや活動家以外の科学の実験では、カエルは実際には温度が上がるほどに逃げよとするようです。
疑似科学的な作り話と見ると良いでしょう。
それでも、比喩としては面白いし、多くの人に教訓を与える寓話でもあります。
その好例として挙げられるのが、1980年代の、ソニーとビクターのビデオテープ・レコーダーの競争です。
ソニーは他社よりも早く開発・販売をしたのですが、性能重視のあまり廉価機(れんかき=低価格機)の開発に遅れをとりました。
そこに後発のビクターが、VHSの製造コストが安いことを売りにし、松下電器など多くの大手電機メーカーと提携し、よりユーザーの求める廉価価格を実現しました。
結果として、自社技術にこだわるあまり、ソニーは孤立状態になり、採算も取れずにベータ方式の生産を中止したのです。
ソニーの敗因は、ユーザーがより廉価で取り扱いの容易な機種を求めていたにもかかわらず、彼らの声に耳を傾けなかったことにありました。
つまり、周囲で重大な変化が徐々に生じているにもかかわらず、人や組織がそれに対応しないため、思わぬ結果をもたらすという、教訓の良い例となりました。
言うまでもなく、企業や組織にかかわらず、我々一個人にも多かれ少なかれ、いつまでもぬるま湯に浸かってはいけないことも示しているのです。
気が付いたら、周囲の変化に対応できず、熱湯になってしまうかもしれません。


■ランスの法則
人は、物事がうまくいっている場合にも、改良あるいは向上しなければならないと思う場合があります。
しかし、
「壊れていないなら直そうとするな」
とも言います。
つまり、「物事がうまく運んでいるなら、余計な手を加えるな」という法則があります。
この法則を唱えたのは、アメリカの行政管理予算局の要職を務めた、バート・ランスです。
政府が問題のある分野に資金を向けず、問題のないところにばかり投資していた現状を皮肉った言葉でした。
その後、日常のシステムや方法が順調に運んでいるなら、あえて改良や変更の手を加える必要はないのだとう忠告のための法則となりました。
たとえば、私たちの身近でも、おいしいことで人気のレストランのメニューに余計なメニューが加わり、かえってまずくなることがあります。
また、優れた機能を持ち、ヒットしている電化製品が、余計に手を加えてマイナー・チェンジをして不具合が出ることもあります。
イギリスの名言では、「これは壊れたのではなく、壊したのだ」と表現されるほどです。
いずれにしても、改良という名の改悪により、多額の費用が無駄になるばかりでなく、顧客の信用を大きく失うことになります。
中国の故事に、「蛇足(だそく)」というものがあるにもかかわらず、日本国内外問わず世界的に無駄な改悪が存在します。
話が蛇足になって申し訳ないのですが、そもそも蛇足とは、
中国のある国で、主人からもらった大杯の酒を召使たちが飲むとき、蛇の絵を一番早く書いた者が飲むという賭けをしたときのことです。
素早く描き上げた男が蛇に足を描き添えたため、嘘の絵はだめだと失格にされたという話によるものです。
余計なひと手間や改良は加えてはいけないというこの教訓は、我々一般人にも他人事ではないのです。
不要な蛇足だったと、過去形にならないように、事前に蛇足かどうかを考えるだけでも結果は違ってくると思います。