遠心力という言葉は、誰もが知っているものの一つと言っても過言ではないでしょう。
回転運動をしている物体に、外側に働く力のことですね。
しかし実はこれ、ある意味間違いです。
観測する立場によって、便宜的に見立てた見かけ上の力なのです。
これは物理学でも常識となっています。
ではどういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
遠心力の説明のひとつに、バケツに水を入れて片手でぐるぐる回すものがあります。
この場合、バケツに入った水の立場を回転系、回している人間の立場を慣性系と言います。
慣性系の中では、バケツの水は向心力(中心に向かって引かれる力)によって、一定速度を保っていれば回転運動を続けます。
一方、回転系の中で、水は推進方向に進もうとしますが、向心力によって回転の中心に引かれます。
その際、水が回転の中心に向かわず静止しているため、それを成り立たせている向心力と逆方向の力を仮定する必要がありました。
これが遠心力で、事象を説明しやすくするために仮定された「見かけの力」なのであります。
要するに、バケツを回す人間からは遠心力は存在せず、バケツ内の水の立場からは仮定の遠心力が存在するのです。
観測する立場によって、遠心力の有無が変わるのです。
ただ、存在するとは言っても、この力は、重力など、どの立場の観測者からも明らかに存在しているとされる「真の力」とは異なるのです。
また、バケツを回している人間が感じる力は、ここでは、向心力、つまり重力を感じているのです。

日常の例で考えていくと分かりやすいです。
車が右折する場合を考えてみましょう。
車が右に曲がるときは、車に対し、右の方向に加速度を働かせないと曲がりません。
ハンドルを右に切って、向心力を車に働かせます。
車は右に進もうとしますが、同乗者は、(慣性の法則で)真っ直ぐ進もうとします。ですから、同乗者は車から左向きに押されるわけです。 
これを体が円の外の方向に押されているように感じる、つまり遠心力を受けていると感じるのです。
しかし、遠心力は見かけの力で、実際には向心力を感じているのです。