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モーツァルトの音楽を聴くと頭が良くなるという話は、皆さんも一度は、聞いたことがあるのではないでしょうか。
また、妊娠中の女性が、お腹の中の赤ちゃんにモーツァルトの音楽を聞かせて、頭の良い子、情緒の豊かな子に育てようとする胎教というものもありますね。
胎教のためのCDも多く出回っています。
しかし、この効果は科学的にも証明されておらず、眉つばものの俗説にすぎないことを、ご存知でしょうか。

そもそもこの説は、フランスの耳鼻咽喉科のアルフレッド博士が1991年に提唱した、「モーツァルト効果」が始まりです。
それによると、特定の音楽は、特定の症状に効果があり、そのうえ気分を明るくし、目の前の作業や課題への集中力を高める効果があるとする説でした。
数年後、カリフォルニア大学において、このモーツァルト効果を確かめる実験が行われました。
フランシス博士とゴードン博士の2人が携わりました。
その内容は、モーツァルト音楽を聞かせたグループとそうでないグループの2組において、空間認識のテストをするものでした。
その結果は、前者のグループが好成績を収めました。
それにより、同大学の博士たちは、脳のある部分には特定の周波数に反応する分野が存在すると、公式に発表しました。
これは画期的な大発見のように思われましたが、博士たちの実験では、個々の被験者の知能を検査したのではなく、さらに、モーツァルト以外の音楽の結果には言及されませんでした。
この実験から分かったことは、
「ある種の音楽が、人間の脳をリラックスさせ、その分脳の機能が向上する」
といった程度のものでした。

それにも関わらず、マスコミは「モーツァルトの音楽を聞いた子どもは賢くなる」と広く報じました。
博士たちは、実験やそれで得た結果を誤解されており、聞いても賢くなるとは限らないと再三訴えました。
それにもかかわらず、この誤った学説が世間に広まるのを止めることは出来なかったといいます。
その後、博士たちの元で研究していたキャンベル博士が、「モーツァルト効果」を商標登録し、さらにその著作を発表したことでベストセラーとなりました。

結果として、世界的に何百万人もの妊婦がその効果を信じ、胎教のために音楽を聞かせました。
そのさ中も、その後も、この学説を証明、または否定するための実験が繰り返されました。
ハーバード大学での研究、さらにはアパラチア大学での研究所でも実験が行われましたが、「モーツァルト効果」の存在や優位性を示す結果は得られなかったといいます。
さらに数々の研究所でも、同様にその効果を証明はできませんでした。

現在では世界的に、モーツァルト効果は否定されています。
しかしながら、権威のある者の発言や実験結果は一度世間に広まると根強く残り、なかなか取り消せません。
最初に実験をした博士でさえ、実験の趣旨とは違うことを強く訴えても、打ち消すことはできなかったのです。
そうして我が国日本でも、未だに、胎教神話、頭が良くなるという音楽CDの商品が出回っています。
人間は、利益になると見るや、事実を都合のいいほうに捻じ曲げる場合があるので、注意が必要です。

ただし、モーツァルトの音楽や、小川のせせらぎなどに含まれるとされる、f分の1ゆらぎという音を聞いている時、脳はリラックスした状態になります。
この状態では、脳はストレスを感じにくく、このリラックスによる集中力アップは期待できるそうです。
リラックスによるものなので、カフェインによる集中力アップとは逆ですね。